なぜ不動産屋さんは高い物件を紹介するのか?
不動産を買いたいと思ったとき、不動産屋さんは高い物件から紹介します。なぜでしょうか?これは購買心理学のテクニックで、今日はそれを丸裸にしますので皆さんご参考までにお読みいただければと思います。
コントラストの原理
これは実は、本命物件が安い!と思わせるテクニックです。不動屋さんにとっても、本当に売りたい物件とそうではない物件があるのです。そこでこの「コントラストの原理」というものを用いて、2番目の提案がより魅力的に見えるよう、あえて最初に興味を引かない物件の提案をお客さんにお勧めしています。コントラストの原理では、先行提案が基準となり、後続提案の認知が歪んでしまうという心理です。
例えば、F1で1組目が優勝したことはあまりないと思いませんか?先行提案が基準となって、2組目以降、特に後半のほうがやはり心理的に認知が歪んでいるので良い点が出るわけです。先行提案が基準となっている分、認知が歪んでしまう心理現象です。先行提案と後続提案のギャップが勾配につながるかというポイントです。
ドア・イン・ザ・フェイス
コントラストの原理、別名では、ドア・イン・ザ・フェイスとも言われています。初めは相手が確実に拒否する要求を出すことです。これがフックとなって、相手は2番目の要求を譲歩と考えて受け入れやすくなります。さらにいうと、お客さんは譲歩を引き出したのは自分の交渉力だという勘違いを起こします。1回目のオファーを断ったという実績がお客さんにはあるので、この交渉をリードしているのは自分だという誤認が生じています。
2番目の要求は自分の交渉の結果引出した物件だから買ってしまおうと思ってしまいます。最初に紹介された不動産が高級物件だとそれが基準となります。この世の中には絶対価値はありません、常に全てが相対価値です。何かと比較して高いか安いかを決めるわけです。
次の物件が安く感じる=アンカリングと呼んでいますが、何かと比較をして決めている。これをうまく使っているのは不動産屋さんです。でもこれは不動産屋さんに限らず、もちろん他のサービスでも使えます。
ヨドバシカメラの表示
あそこのお店の値段表示で、不思議な数字を目にしたことありませんか?例えば、パソコン参考価格15万円を、表示価格12万円で販売とか。参考価格が最初の要求ですね。最初から12万円だと迷うと思いますが、参考価格に比べたらお安いですよね。
さらにポイントで10%還元しますとか見ると、もはやいくらなのか分からなくなります。誤認に誤認をさせるテクニックで、安そうだという曖昧なところだけで買っておこうとなります。
宝石店
こちらもテクニックは同じです。 最初に超豪華な宝石をお客さんに見せます。その後に適正なものが紹介されます。
皆さんもご経験があるかもしれません。完全にテクニックです。人間は不思議なもので、アンカリングを使えば、高くも安くも感じる不思議な生物なのです。
デートに誘うとき
今度の土曜日映画に行かない?ではなくて、今から映画行かない?と相手に言うと、今からというのはたいてい受け入れられないオファーです。では土曜日か日曜なら良いかなとなるので、一緒に行ける可能性がぐんと高まります。もしデートに誘いたい人がいるなら、このコントラストの原理で最初に無理な要求を突きつけて、認知を誤認させてみて下さい。これできっとうまくいくはずです。
最初に無理な先行刺激があって、その後の提案である後続刺激が歪んで認識される、これがコントラストの原理ですがセールスをするときにこの原理を生かすことができます。無形の商材でも大丈夫です。
最初にハードルの高い要求、例えば個別コンサル月50万円、グループコンサル月10万円、オンライン教材月5万円、そうするともはや個別コンサル月50万円が基準になっているので、日程を合わせてもらう必要はあるけれどグループコンサルで良いと思いますと、思ってしまうわけです。さらにいうと、グループコンサルにするとオンライン教材がついてきますと聞くと、人間の心理は絶対にお得だと感じてしまいます。
こういうことを使ってセールスをすると、本当に売りたいものを売りやすく、お客さんも喜んで買ってくださるという結果です。
まとめ
いきなり本命商品の説明から入ると、それが先行刺激となってしまいます。必ず先行刺激になる商品を紹介してから、本命商品を販売するようにしましょう。まだにこれは世のセールスの常套手段となります。